平壌市軌道電車 KT8D5K型

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KT8D5K型は平壌市軌道電車の開通に備えて1990年に45編成が製造された。全車両がCKD TATRA製。

CKD TATRA標準のKT8D5型を平壌市軌道電車仕様として新製した車両である。3連接車・両運転台・両側扉仕様。車内はオールクロスシート。車両寸法は長さ30,300mm×幅2,480mm×高さ3,145mm。最高速度は65km/h。電機子チョッパ制御。

片側5扉で、2番目と4番目の扉が乗車用、1・3・5番目の扉が降車用である。車両の仕様上、双方向に走行することができるが、平壌市軌道電車は終端駅ではループ線で折り返す構造となっているため、片側の運転台及び進行方向左側の扉は使用されない。使用されない側の先頭の前照灯は一時期大半の車両で撤去されていたが、現在は復元されている。

全路線で運行されている。車両番号は1号線は1000番台、2号線は2000番台、3号線は3000番台で付番されている。

平壌駅前の広場を行くKT8D5K型1024。
万景台付近を行く1014。
トップナンバーの1001。平壌市軌道電車の第1号車でもある。
松山軌道電車事業所を出庫する1020。
1号線(松山-平壌駅軌道電車)での運用に就く1020。
1022。写真のように先頭車の腰板部に「人民のために服務する!」のスローガンが書かれていない車両も存在する。

平壌駅前にて
プルグン通りを行く1034。事故防止のため北朝鮮では2012年より自動車の前照灯常時点灯が推奨されており、大半の車両は遵守している。
1040。

平壌駅前にて
西城通りを行く1044。
3連接車体の先頭車。両端のドアは3枚折戸、中間のドアは4枚折戸である。
左右両側の側窓の下には5万km無事故運転達成ごとに、星印が1つ刻まれる(☆の中央に「5万」と書かれている)。
中間車。
最後尾車両。運転台は車両の両端に設置されている。
運転台は車両両端にあるが通常は片側のみ使用する。2014年5月時点では大半の最後尾車両の前照灯が写真のように一時期撤去されていたが、2018年8月時点では前照灯が復元されていた。運転台自体は存置。
1002。1991年4月、軌道電車開業直前に金日成主席と金正日総書記が視察した、栄えある車両である。この日は当車両を当方のためにチャーターして頂いた。
横がちに見た1002。非常に綺麗に整備されている。
松山軌道電車事業所に停車中の1002。
前面の「CKD」の銘板。製造会社の「CKD TATRA」のロゴである。
側面には5万km無事故運転達成を示す☆マークが片側に22個あり(両側面合わせて44個)、この車両が累計220万km無事故運転をしていることを示している。
台車。インサイドフレーム(側梁と軸受けが車輪の内側にある構造)となっている。中央には電磁吸着ブレーキを設置。
連接部の台車。
「万景台-平壌駅」と書かれた前面行先表示。貸切列車の場合は、前面窓に「直行」と書かれた札が掲出されている(写真左下)。
側面の行先表示版(サボ)。
先頭車の腰板部に書かれた、「人民のために服務する!」のスローガン。
1002の車内の様子。全席クロスシートで、1人掛けまたは2人掛けの席が並んでいる。
「軍人・栄誉軍人席」(左)と「身ごもったお母さん(=妊産婦)の席」(右)。
「戦争老兵席」(左)と「英雄席」(右)。
乗降口。4枚折り戸でステップは2段。
貫通路。
乗務員室仕切り。
1002の乗務員室仕切りの上に掲げられている、「偉大なる首領 金日成同志と偉大なる領導者 金正日同志が見られた軌道電車 主体80(1991)年4月13日」と刻まれたプレート。
軌道電車は視察から2日後の1991年4月15日に開業した。
運転台。マスコンはなく、加減速共に自動車同様の足踏みペダル式(CKD TATRA社の路面電車では標準仕様)。
1002を運転中の様子。前面窓の上部には装飾が施されている。
速度計は中国製(「合肥海泰克汽車電子公司」製)のものに交換されていた。
パンタグラフを上げ下げするためのロープ。惰性運転や架線高さが低いところ等ではロープを引っ張り、パンタグラフを下げるとのことである。
乗務員室仕切り扉の「運転手以外出入禁止」の文字。
世界初、平壌市軌道電車の運転台にカメラを固定して映像撮影。平壌市軌道電車1号線(松山-平壌駅軌道電車)の一番の見どころである区間(平壌サーカス劇場→平壌駅)を行くKT8D5K型1002号車からの前面展望映像。車両をチャーターして撮影。
車窓からは光復地区商業中心(スーパーマーケット)、柳京ホテル、普通江駅、地下鉄黄金原駅、西城通り等が見え、変化に富んだ車窓を楽しむことができる。

Full HD Video
光復通りを走行する1002号車。車両をチャーターして撮影。貸切列車のため、途中の停留所はすべて通過する。

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