平壌〜北京間国際列車車両紹介

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平壌〜北京間国際列車では朝鮮鉄道省の車両と中国国鉄の車両が交互に運行されている。平壌発月・木と、北京発水・土の列車は朝鮮鉄道省の車両で運行し、平壌発水・土と、北京発月・木の列車は中国国鉄の車両で運行される。

朝鮮鉄道省の車両はタチム30型とナチム31型/タチム31型が使用される(チムは「寝台」の「寝」の朝鮮語読み)。また、中国国鉄の車両は25T型客車が使用される。いずれも国際列車仕様の車両で、車両中央には車両所有国の国章が設置されている。また、連結面にはロシア鉄道所属の客車との連結を考慮してバッファー緩衝機能付き渡り板が設置されている。

タチム30型は中国国鉄25G型客車をベースに朝鮮鉄道省向けに製造した車両である。2012年に12両(タチム30 5311〜5322)が南車南京浦鎮車輌廠で製造された。うち、上級寝台車仕様(中国国鉄RW25G型ベース)がタチム30 5311〜5314の4両(当初はナチム30 5311〜5314を名乗っていた)、一般寝台車仕様(中国国鉄YW25G型ベース)がタチム30 5315〜5322の8両である。最高速度は120km/h。12両の価格は600万USドル(=1両あたり50万USドル)とのことである。

ナチム31型/タチム31型は中国国鉄25K型客車をベースに南車青島四方機車車両が朝鮮鉄道省向けに2003年に製造した車両である。上級寝台車のナチム31 5301・5302(2両)と、一般寝台車のタチム31 5303〜5305(3両)の計5両が在籍する。最高速度は160km/h。床下に発電機を備える。

北京駅に到着した、平壌からの国際列車。最後尾寄りの2両のみが朝鮮鉄道省の車両で、それより前の12両は国境の丹東で連結した中国国鉄の25T客車である。丹東〜北京間(K28列車)は機関車+客車14両で運行される。朝鮮鉄道省の車両は2012年製のタチム30型である。
タチム30 5313。
タチム30型の中国国鉄25G型との相違点は、車体色が緑皮車塗装(緑地に黄帯塗装)であること、ロシア鉄道所属の客車との連結を考慮して連結面にバッファー緩衝機能付き渡り板が設けられていること、車外・車内の各種表記が朝鮮語(または朝鮮語・中国語の併記)であること等である。
タチム30 5314。上写真のタチム30 5313と連結されているが、車両の向きが逆である。
タチム30 5312。

北京駅付近(北京明城墻遺址公園)にて
タチム30 5311。

北京駅付近(北京明城墻遺址公園)にて
車両中央には朝鮮民主主義人民共和国の国章が設置されている。
台車。車軸発電機付きである。車体の裾には、中国国鉄の車両と同様に車両の最高速度(120km/h)が表記されている。
台車(車軸発電機非設置側)。
連結面。ドアは開き戸で、低床ホーム・高床ホームのいずれにも対応できる構造である。
車外の号車板。
「一般寝台」の文字と、タチム30 5313の車両番号表記。
当初は「上級寝台」ナチム30 5313を名乗っていたため、書き直した跡が残っている。上級寝台車仕様のタチム30 5311〜5314の4両が、形式のみナチム30型からタチム30型に格下げされた。
車内のタチム30 5313・タチム30 5314の車両番号銘板。車外は表記がタチム30からナチム30に変更されたが、車内銘板はナチム30表記のままである。

ナチム・タチムの頭の「ナ」・「タ」は等級記号で、日本の鉄道車両の等級記号(イロハ)と同様に朝鮮語の「カナダラマバサ…」を等級記号として使用している。「カ」が1等車(現在存在せず)、「ナ」が2等車(上級寝台)、「タ」が3等車(一般寝台)。
その後ろの「チム」は寝台(チムデ)の「寝」。寝台車に使用される記号である。
タチム30型の車内。内装は中国国鉄25G型客車(軟臥車)とほぼ同一である。片側通路式で、通路には跳ね上げ式の折りたたみ座席が設置されている。
デッキ付近にはLED式車内案内表示器を設置。
通路に掲示されている列車時刻表(リョルチャシガンピョ)。停車駅と各駅の停車時間・発着時刻・営業距離が表記されている。
北朝鮮の広報誌等も置かれている。
朝鮮鉄道省の車掌の制帽。
各個室のドアに記されている、寝台位置の案内。
寝台の様子。4人個室で、2段式ベッドが2つ設けられている。中国国鉄25G型客車(軟臥車)の寝台とほぼ同一仕様。
上段の様子。通路上部分は荷物置き場。
連結部とデッキ。
ドアは開き戸で、手動開閉である(ドア開放時以外は施錠される)。
ドア付近の床は取り外し可能であり、外すと低床ホームでの乗降に対応できる。
洗面台。
トイレ。水洗機能付きの垂れ流し式である(中国国鉄でも標準仕様)。便器は東洋式(しゃがみ込み式)のステンレス製。
各種表記は朝鮮語と中国語の2ヶ国語併記。
平壌〜丹東間の国際列車(区間運行車両)は中国国鉄25B型客車の硬臥車(YW25B型)が使用される。国際列車仕様であり、車両中央には中華人民共和国の国章が設置されている。平壌〜北京間の国際列車に併結される。
YW25B型の車内。内装は中国国内向けのYW25B型と同一。硬臥車標準の3段寝台である。
朝鮮鉄道省車両の食堂車(車両形式不明)。平壌〜新義州間で連結される。丹東〜北京間では中国国鉄の食堂車が連結される。
食堂車の厨房脇の通路。
タチム30型の一般寝台車(YW25G型ベース車両)も平壌〜丹東間の区間運行車両として使用されている。
明城墻遺址公園(北京明城壁遺跡公園) の北京城東南角楼の横を行く、北京発丹東・平壌行きのK28列車。最後尾2両が平壌行きである。
中国国鉄所属の国際列車用車両。2008年より25T型客車が使用されている。車両中央には中華人民共和国の国章を設置。
基本的に号車番号と「A safe journey」の文字をひたすらスクロールしている。

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朝鮮鉄道省タチム30型客車と同様に、基本的に号車番号と「祝ニー旅途愉快!」の文字をひたすらスクロールしている。

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