平壌駅

Tweet

平壌駅(ピョンヤンヨッ)は平壌市中心部の南西端にある、朝鮮鉄道(国鉄)最大の駅である。3面5線(相対式ホーム1面1線(1番線)+島式ホーム2面4線(2〜5番線))で、駅の南側には車両基地(客車・貨物ヤード)、北側には機関庫を備える。平義線・平釜線・平南線・平徳線・平羅線の起点であり、1番線のホーム脇には0キロポストが設置されている。

1906年4月3日の京義線(現:平釜線・平義線)開通に併せて完成した。その後、洋風の2代目駅舎に建て替えられ、現在の駅舎は1957年に完成した3代目。現駅舎は地上3階・地下1階で、スターリン様式の建物である。駅舎中央には高さ47mの八角形の塔があり、塔には朝鮮鉄道省の標準時を刻む、直径3.6mの時計が東西南北の4方向に設置されている。入口は中央の一般旅客用と、貴賓用(外国人旅行者を含む)の2箇所がある。プラットホームは1〜5番線があるが、国際列車は基本的に1番線に発着する。改札は列車ごとに実施されており、乗車券や入場券を持っていなければホームには入れない。切符は駅舎に隣接する建物で販売されている。

当駅からは北京、丹東、モスクワ(瀋陽経由もしくはハサン経由)を結ぶ国際列車も発着しており(北朝鮮側の起終点駅は平壌駅)、このうち平壌〜ハサン〜モスクワを結ぶ国際列車は走行距離10,214kmで、世界最長距離を結ぶ列車である(全区間の所要時間は、平壌→モスクワが8泊9日、モスクワ→平壌が9泊10日)。

現在、駅舎を建て替える計画がある。

上から見た平壌駅とその周辺。駅舎に隣接する1番線は大きな屋根で覆われている。駅の南側には車両基地を備える。駅前は大きな広場で、軌道電車(路面電車)の軌道も敷かれている。
平壌駅の駅舎。石造りのスターリン様式の建物で、中央には高さ47mの時計塔がある。金日成主席・金正日総書記の肖像画が掲げられ、その左側には「偉大なる領導者金正恩同志万歳!」、右側には「栄光ある朝鮮労働党万歳!」のスローガンが掲げられている。
北側から見た駅舎。駅舎は3階建て。駅前広場には軌道電車(路面電車)や無軌道電車(トロリーバス)の軌道・架線があり、車両は広場を周回して折り返す。
駅前広場から見た駅舎。
駅前広場には巨大なスクリーンが設置されており、テレビや歌を放映している。
蒼光通りから見た平壌駅の駅舎。駅前を軌道電車(T3型車両)が行く。
栄光通りから見た平壌駅。平壌のメインストリートである栄光通りは街路樹が整備され、両端には無軌道電車(トロリーバス)の架線が張られている。
夜の平壌駅。夜の平壌の街並みはやや薄暗いが、平壌駅舎など平壌の主要な建物は毎晩煌びやかにライトアップされている。
駅舎中央部。「平壌」と書かれた駅名標の下に、赤色のネオンサインも光る。
三日月のもと、ライトアップされる時計塔。四方に設置された時計は朝鮮鉄道省の標準時を刻む。
駅舎の中央より南側にある、貴賓用の入口。外国人旅行者が国際列車に乗る際も、この貴賓用入口から中に入る。
貴賓用待合室。国際列車に乗車する外国人旅行者は、改札開始までこの待合室で待機する。
貴賓用待合室には売店も備えられており、飲食料や土産等を販売している。
待合室には労働新聞が掲示されている。
小奇麗な待合室のトイレ。個室トイレは洋式で、個室の仕切り戸は「先客」の有無を確認できるよう、ガラスがはめ込まれている。

トイレは朝鮮語で「衛生室(ウィセンシル)」と呼ばれる(韓国語は「化粧室(ファジャンシル)」)。
1番線の広大なホーム。車も直接乗り入れることができる構造である。ホームの長さは約370m。国際列車は原則、1番線に発着する。
平壌駅の駅名標と、1番線のホーム。
駅名標。「平壌」の文字の隣には革命のたいまつ(烽火)が描かれている。
1番線のホームの端は小石が用いられている。ホームは1番線のみ高床で、車両にステップレスで乗車することができる。
1番線と2番線の線路の間に立つ、0キロポスト。朝鮮鉄道省のマークの下には、「平壌、国の鉄路の始発点」と書かれている。
この0キロポストは1番線に車両が停車していると見ることができない。
停止位置目標。ハングル(チョソングル)で「停」と書かれている。
上から見た平壌駅のホーム。広大な1番線の隣に、島式ホームの2・3番線(屋根あり)、4・5番線(屋根なし)が連なっている。その隣の側線には車両の姿も確認できる。
1番線から見た2・3番線、及び4番線に停車している車両。
パンタグラフとモーターを備えた動力客車(客車型動力車)。客車編成の中央に挟んで運行され、先頭の機関車の牽引力を補う役目を果たしている。
ナ29型客車(上級座席車)。
「平壌〜満浦(マンポ)」のサボが掲げられている。窓は1段上昇式2重窓。
ピカピカに磨かれ、塗装も美しい赤旗1型5143。
構内を行き来する入換車両。
構内に佇む電車型機関車の赤旗900-8。
平壌駅の北側に位置する扇形庫。
煌びやかにライトアップされる3代目平壌駅舎。駅前広場を路面電車が走行する。広場には平壌駅に止まっている機関車からの警笛が鳴り響いている。
駅舎の左側(南側)の文字は「偉大な領導者金正恩同志万歳!」、右側(北側)の文字は「栄光ある朝鮮労働党万歳!」である。

Full HD Video

平壌駅初代駅舎
木造の駅舎で、中央には朝鮮総督府鉄道局のマークが設置されている。
この写真は鉄道省革命事績館に展示されていたもので、右下の解説は「解放前平壌駅(1920年代)」。
平壌駅2代目駅舎。
洋風駅舎。日本統治時代に完成し、朝鮮戦争の戦火で焼失した。
写真は鉄道省革命事績館にて。右下の解説は「開放後平壌駅」。1945年〜1950年の間に撮影された写真と思われる。

「北朝鮮の鉄道トピックス」に戻る

Tweet