SRT(水西高速鉄道)

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水西高速鉄道(スソコソッチョルト)は水西平沢高速線(スソピョンテクコソクソン)を経由して水西(スソ)〜釜山及び光州松亭、木浦方面を結ぶ高速鉄道である。当区間を走行する高速列車は「SRT」と呼称されている(SRT=Super Rapid Trainの略)。

水西平沢高速線はソウル〜衿川区庁 間(KTXの在来線共用区間)の線路容量不足の解消やソウル首都圏東南部のアクセス向上等を目的に建設され、総延長は61.1km。当区間内には水西(スソ)・東灘(トンタン)・芝制(チジェ)の3駅がある。路線の大半が地下にあり、大深度地下トンネルである栗(ユリョン)トンネルは総延長50.3kmで、韓国で最も長いトンネルである。SRTは水西平沢高速線の終点である平沢分岐点から先は京釜高速線に直通し、KTXと同じ線路を走る。

水西平沢高速線の運営・SRTの運行は株式会社SRが行っている(SR=Supreme Railwaysの略)。株式会社SRはKORAILの子会社(鉄道公社)で、KORAILに次ぐ高速鉄道運営事業者となった。SRTはKORAILが運行するKTXよりも平均で10%安い運賃設定となっており、KTXと競争体制となっている。

2016年12月9日に水西平沢高速線が開通し、SRTの運行が開始された。

水西〜東灘 間は建設中のGTX A線(三成-東灘 広域急行鉄道)と線路を共有する予定である。

SRT(水西平沢高速線)水西駅の外観。
水西駅の内部を1階から眺める。コンコースは地下1階にある。
地下1階の切符売り場。
切符売り場の南側に地下2階のホームへと降りる階段・エスカレーター・エレベーターがある。コンコースには各種レストラン・カフェ・コンビニ等が揃っている。
コンコースの南側にある、「水西高速鉄道体験型総合展示館」。入場無料で、栗(ユリョン)トンネルのVRコーナー等、高速鉄道建設の技術を展示している。
地下2階にも切符売り場があり、ソウル地下鉄3号線・盆唐線の水西駅の連絡通路と直結している。
自動券売機。
ソウル地下鉄3号線・盆唐線の水西駅とSRTの水西駅を繋ぐ連絡通路(地下2階)。動く歩道も整備されている。
プラットホーム。地下2階にあり、3面6線の構造である。
ホームは頭端式で、ホームの先(北側)に前述の地下2階の切符売り場がある。車止めの上には「絶対停止」の標識が設置されている。
水西駅の駅名標。SR独自のデザイン。
3・4番線のホーム上にある、水西高速鉄道起点のモニュメント。モニュメントの台座には国土交通部と韓国鉄道施設公団(KR)の名前が刻まれている。
SRTの車内では韓国語・英語・中国語・日本語の4か国語による案内表示が行われている(KTXも同様)。
東灘駅到着案内表示。
東灘駅のホーム。中央に通過線、両脇にホームと接する副本線がある2面4線(GTX A線開通時には2面6線)の構造。通過列車の風圧及び騒音対策として、韓国の高速鉄道の駅で初めてプラットホームスクリーンドア(PSD)が設置された。ホームは地下6階にある。
プラットホームスクリーンドアと車両の間には余裕がある。
東灘駅のSRTのホームの外側には、将来のGTX A線用のホームが準備されている。SRTのホームは低床式、GTXのホームは高床式のため、ホームに段差がある。
GTX A線用ホームのスペース。写真左側に線路やプラットホームスクリーンドアが設置される予定だが、現在は壁が続いている。エスカレーターは既に稼働している。
東灘駅の駅名標。
地下4階のコンコース。切符売り場やインフォメーションセンターもある。
東灘駅の地上出入口。駅舎はない。
東灘駅の周辺は東灘2新都市としての整備が進められている。
芝制駅。KORAILの芝制駅と隣接しており、改札外の連絡通路で接続している。
SRT芝制駅の橋上駅舎からホームを見る(写真奥が釜山・木浦方面)。中央に通過線、両脇にホームと接する副本線がある2面5線(水西方面のホームのみ島式ホーム)の構造。写真左側に京釜線を行くセマウル号が見える。
芝制駅の駅名標。
芝制駅の橋上駅舎。
駅舎の内部。周囲は農村地帯のため、SRが運営する3駅(水西・東灘・芝制)の中では最も閑散としている。
芝制駅には水西平沢高速線の保線基地が併設されている。水西方面ホームの外側の線路は保線車両用のため非電化。
SRTは芝制駅から先は京釜高速線・湖南高速線に直通し、釜山・光州松亭・木浦まで運行している。釜山駅の留置線にてKTX-Iと並んで留置されているSRT。
SRTとして運行される130000形。SRTでは120000形と130000形が運行されており、共に「KTX-山川」タイプの車両。130000形はSRが自社発注し、10両編成10編成が存在する。全車両が現代ROTEM製で、2015年〜2016年に製造された。編成番号は落成時は31〜40となっていたが、営業運転開始前に301〜310に改められた。

芝制にて
130000形の特室(3号車)の車内。荷棚が航空機のような蓋付きのもの(ハットラック式)が韓国の高速鉄道で初めて採用された。2人掛け+1人掛けの配置で、リクライニングは電動式。
130000形の一般室(1・2・5〜8号車)の車内。赤いモケットの座席が特徴。
一般室のうち、4号車だけは当初「プレミアム客室」としての運行計画があったため、座席の仕様が異なる。しかし、現在は他の一般室と同等に運用されている。
各車両には3ヶ所(客室車端部及び中央部)にLCDが設置されている。
デッキ。折り畳み式座席が設置されている。
6号車に設置されている自動販売機。
同じくSRTとして運行される120000形。120000形は22編成存在し、KORAILが8編成、韓国鉄道施設公団が14編成を発注。現在は全車両がKORAILからSRにリースされている(韓国鉄道施設公団が発注した14編成はSRへのリース前にKORAILに譲渡されており、所有は全編成ともKORAILとなっている)。車両が現代ROTEM製で、2013年〜2015年に製造された。編成番号は落成時は01〜22となっていたが、SRリース後に201〜222に改められた。
120000形は元々「KTX-山川」として運行されていた車両で、2015年3月31日に運行を開始した。湖南高速線開業に向けて製造されたが、湖南高速線系統以外のKTXとしても運行されていた。従来の「KTX-山川」(110000形)との外観上の最大の相違点は塗装が一新されたことである。また、110000形と比べて、加速度の向上、乗り心地・車内防音の改善、座席背面テーブルの構造変更による足元スペースの拡大、全座席へのコンセントの設置、スナックバーの廃止や乗務員室・放送室の統合による着席定員増(110000形比で+47席)等の改良が施されている。また、前面のワイパーが110000形が1本だったのに対し、120000形以降は予備用(空気圧作動式)を加えた2本となっている。これらの改良は前述の130000形にも反映されている。

芝制にて
120000形の特室。内装はKORAIL(KTX-山川)で運行されていた時と大きな変化はなく、SR自社発注の130000形とは異なる。
120000形の一般室。
一般室の座席(1・2・5〜8号車)。なお、4号車の座席は「社会的弱者配慮席」として、ヘッドレスト付きのものとなっているが、ほかの一般室と同等に運用されている。
SRTは10両編成または重連とした20両編成(10両+10両)で運行される。120000形と130000形は分け隔てなく運行されており、写真のように120000形と130000形の併結も可能である(左が120000形215編成、右が130000形305編成)
「KTX-山川」として運行されていた頃の120000形。写真は空港鉄道直通運用に入っていた頃のもので、現在は見ることができない(SRリース後は平沢分岐点から北側で京釜高速線を走ることはなくなった)。
なお、KORAILの内部コンピューター上では、120000形(・140000形)で運行する列車は「KTX_山川」(KTXと山川の間がアンダーバー)として管理され、110000形による運行の「KTX-山川」に対して使い分けられていた。一部の駅では表示も区別されていた。

黔岩にて(2015年9月21日撮影)
先頭車側面には「KTX-山川」のロゴが入っていた。SRリース後は「KTX-山川」ロゴの代わりに「SRT」ロゴが掲出され、前面にも「SR」の文字が入った。編成番号も2桁時代のものである(現在は06編成→206編成、10編成→210編成にそれぞれ改番)。

黔岩にて(2015年9月21日撮影)
空港鉄道を行く120000形。

雲西にて(2015年9月21日撮影)
営業運転開始前に試運転を行っていた120000形02編成(現:202編成)。側面の「KTX-山川」ロゴも入っていない。営業運転開始前、「ダリアン」という愛称をつける計画もあったが、幻に終わった(110000形と同様に「KTX-山川」として運行)。

天安牙山にて(2014年10月13日撮影)
始発駅の水西駅を発車する、光州松汀行きのSRT。

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芝制駅を発車する、釜山行きのSRT。

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芝制駅を高速で通過する、上下線のSRT。京釜線を行くムグンファ号も見える。

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東灘駅に入線する水西行きSRT。当駅は韓国の高速鉄道で初のプラットホームスクリーンドア設置駅。ホームは他の高速鉄道の駅と同様に低床式。列車の到着に合わせ、プラットホームスクリーンドアと列車の間の部分の照明が点灯する。

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