ミャンマー国鉄元 三陸鉄道36-1100形・36-1200形

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三陸鉄道36-1100形・36-1200形は、三陸鉄道開業に際して1983年〜1985年に製造された36-100形、36-200形のうちの一部を「リアス・シーライナー」の指定席用車両として2000年〜2002年に改造した車両である。5両が改造され、2000年に36-206(→改造後車両番号:36-1206)、2001年に36-201(→改造後:36-1201)・36-106(→改造後:36-1106)・36-107(→改造後:36-1107)、2002年に36-103(→改造後:36-1103)が竣工した。元の車両番号に+1000を追加している。車内の座席はすべて回転リングライニングシートに交換され、一部の車両は外板塗装も変更された。

36-100形、36-200形の製造会社は富士重工・新潟鐵工。車両寸法は長さ18,500mm×幅2,928mm×高さ3,967mm。最高速度は95km/h。車体は鋼製。

2009年3月のダイヤ改正にて36-1201・36-1206・36-1106の3両が廃車となり、ミャンマー国鉄に譲渡された。また、2013年度に廃車となった36-1103・36-1107の2両も、2015年にミャンマー国鉄に譲渡された(結果的に36-1100形・36-1200形は全車両がミャンマー国鉄に譲渡されたことになる)。現地到着後、ステップ設置、車軸の改造、前面行先表示器の撤去(閉塞)等の改造が施された。その豪華な内装から、一般用の車両としては使用されておらず、全車両がミャンマー国鉄幹部の管内視察等で使用されるVIP用車両として整備された。冷房装置や三陸鉄道時代の塗装は存置されている。ミャンマー国鉄での車両番号は、36-1201が「RBE3001」、36-1206が「RBE3002」、36-1106が「RBE3003」、36-1107が「RBE3004」、36-1103が「RBE3005」。

2014年11月に、RBE3001・RBE3002がヤンゴン臨港線での営業運転に対応するため、大型ステップ設置、パトライト設置、車内の座席のオールロングシート化等の改造が施された。RBE3001・RBE3002は2014年12月7日に旅客化したヤンゴン臨港線の専属車両として使用された。この際の車両の所属はMa Hla Gon Locomotive Shed。

その後、ヤンゴン臨港線が電化されたことにより同線での運用を2015年9月で終え、ステップ撤去工事などを施したうえで他路線に転属した。

Ywa-Htaung(ユワータウン)機関車工場に常駐していた頃のRBE3002(元 36-1206)。三陸鉄道時代の塗装そのままに、専用の車庫にてVIP用車両として大切に扱われていた。VIP車時代は月1〜2回程度の稼働であった。

Ywa-Htaung機関車工場(Ywa-Htaung Locomotive Workshop)にて
正面から見たRBE3002(元 36-1206)。前面の行先表示器部分が埋められていることと、ミャンマー国鉄(MR)のロゴマーク・車両番号が追加されていることが大きな差異。
上写真の反対側。検査の際に再塗装されており、横方向2本のストライプが消されている。また、ドア付近には手すりが追加されている。
側面の車両番号表記。
「ワンマン 締切」の表記も健在。
車内の様子。回転リクライニングシートや冷房装置が残されており、車体中心付近の屋根は冷房装置の位置を下げるため、低屋根化されている。
車両中央には回転リクライングシートが左右1脚ずつ撤去され、その部分に大きな机が設置されている。この机を囲んだ座席が上座として扱われていると思われる。
デッキとの仕切り部。VIP用車両であるからか、仕切り右上の禁煙銘板にて「禁煙」の漢字表記の部分が目張りされている。
デッキには給水タンクが設置されている(両側のデッキに設置)。
乗務員室付近の様子。
運転台。大きな改造は施されていない。
2014年12月7日に旅客化したヤンゴン臨港線用車両として転身したRBE3001(元 36-1201)。併用軌道区間が存在することから、自動車警戒用に前面窓上部付近にパトランプ、前照灯下に反射材が追加された。また、路面からの乗降に備え、各乗降口には大型のステップが設置された。塗装は引き続き三陸鉄道時代の塗装を保っている。

Pansodan〜Botahtaung Pagodaにて
ヤンゴン港に積み上げられた大型コンテナ群をバックに走るRBE3001。

Linstaung〜Botahtaung Pagodaにて
前面の貫通扉、及び側面の扉を閉めたRBE3001。

Pansodanにて
正面から見たRBE3001。
ヤンゴン環状線仕様への改造後のRBE3002(元 36-1201)。RBE3001と同様の内容で改造された。

Shwedagon Pagoda Roadにて
上から見たRBE3002。冷房装置周りが低屋根化されているのが観察できる。

Pansodanにて
ヤンゴン環状線仕様改造の際に設置された大型ステップ。従来のステップに増設される形で設置されており、台車との干渉防止を考慮した形状になっている。
パトランプ取付け部。走行時はランプを点滅または点灯させる。
スカート側面には全般検査の年月日及び再塗装の年月日表記がある。

YUG=Ywa-Htaung(ユワータウン)の略
MIT=Myitnge(ミンゲー)の略
RBE3001の車内の様子。ヤンゴン環状線仕様改造時にオールロングシート化、及びレール方向につり革が設置された。
RBE3002の車内の様子。同様にオールロングシート化及びつり革設置が行われた。
座席はビニールレザー張り。座席前にはつり革設置に併せてスタンションポールも設置された。
車体中央の冷房装置付近の低屋根化改造部。
デッキの仕切り。
開け放たれた貫通路から見える、ヤンゴン臨港線の併用軌道。
トイレのドア(写真左)は鉄板で塞がれ、閉鎖された。
日本語表記はVIP用車両時代に引き続き一部が目張りされている。
ヤンゴン臨港線の運用削減により、予備車扱いとなったRBE3001。

Ma Hla Gon Locomotive Shedにて
2015年にミャンマー国鉄に譲渡された36-1107(RBE3004)。Insein Locomotive Workshopにて改造工事が進められている。これまでの車両と同様、正面の行先表示部分は閉塞された。

2015年8月撮影
連結した状態で、改造工事が進められる36-1107(左手前)と36-1103(右奥)。
見学した当日、マレーシアの鉄道関係者のグループも改造の様子を視察していた。

Insein Locomotive Workshopにて
車体中央部に設けられた、冷房設置部分の低屋根化改造部の排水口。元JR東海キハ11形に対して行われた改造と同様である。
車体は傷んだ箇所を中心に修繕され、再塗装のため新聞紙によるマスキングが施されている。、
ステップを溶接する。
車体中央に追加設置されたインテーク(空気取入口)。
改造中の36-1103の車内の様子。
冷房装置直下の低屋根化改造部。
車内では配線工事も進む。座席数を増加させるため、写真右手前の配電盤の位置を車両の中程(写真左奥の配線の束が垂れ下がっている位置)からドア横に移動させたとのことである。
車内改造のため一旦取り外された、36-1103の元JR東日本485系の座席(R55F形座席)。
竣工直後に半年ほどPyinmana Locomotive Shed(Pyinmana機関区)のVIP用車両となった後、DRCに転属となりVIP用車両として使用されている36-1103と36-1107。36-1103が「RBE3005」、36-1107が「RBE3004」である。塗装は三陸鉄道時代のまま。
DRC構内を走行するRBE3005(36-1103)。
側面の三陸鉄道時代の車両番号表記。ミャンマー国鉄にて再表記されたものである(数字のフォントが三陸鉄道時代と異なる)。
DRCに留置されているRBE3004(36-1107)。
RBE3004とRBE3005はDRCで非番の際、構内入換用の車両としても使われている。写真はJR東日本キハ38形を連結して入換中。
New Strand Roadの料金所を通過するRBE3001(元 三陸鉄道36-1201)。料金所の中央のレーンは列車専用で、列車通過前後に料金所の職員がバリケードを移動する。

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ヤンゴン港に高く積み上げられたコンテナの傍らを行く、Pansodan行きのRBE3001。

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New Strand Roadの道路端に設けられた併用軌道をゆっくりと進み、終点のPansodan駅に到着するRBE3001。

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非常にトラックの交通量が多いNew Strand Roadを低速で行く、Pazundaung行きの列車。

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トラックや自動車が高速で行き交う中、道路の端の併用軌道をゆっくりと進むHtaw Li Kue行きの列車。

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Myanmar Industrial Port Teminal 1のゲート前を通過するRBE3002(元 三陸鉄道36-1206)。

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Pansodan駅前の交差点を通過する、Pazundaung行きのRBE3002(元 三陸鉄道36-1206)。

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■日本時代の記録
川崎市営埠頭にて、ミャンマーへ譲渡される他の車両とともに船積みの時を待つ36-1103・36-1107。

以下、2015年3月21日撮影
36-1107(左)と36-1103(右)。

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