フィリピン国鉄(PNR) South Rail(Metro South Commuter)

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フィリピン国鉄(PNR) South RailはTutuban(トゥトゥバン)〜Legazpi(レガスピ)間479.0kmを結ぶ路線である。うち、Tutuban〜Sucat(スーカット)間が複線(右側通行)。全区間が非電化。軌間は1,067mm(狭軌)。保安装置は未設置。1938年5月8日にManila(現:Tutuban)〜Legazpi間が開通した。

このうち、マニラ近郊のTutuban〜Alabang(アラバン)間28.1kmでは都市鉄道輸送が行われており、30分ないし1時間間隔で通勤列車が運行されている。この区間は別称「Metro South Commuter」(略称:MSC)または「Commex」(コメックス;Commuter Expressの略)とも呼ばれる。2008年より韓国の資金援助によって駅・軌道の改良・新設、通勤型車両(気動車)の導入等が行われた。また、Tutuban〜Alabang〜Calamba(カランバ)間及びTutuban〜Alabang〜Mamatid間でそれぞれ1日1往復、通勤列車が運行されている。

列車は3〜5両編成で運行される。車両は現代ROTEM製のDMR1。3両編成6本(18両)が導入され、2009年7月より営業を開始した(従前の客車列車の大半を置き換えた)。また、2011年にJR東日本より203系40両とキハ52形3両、2015年に関東鉄道よりキハ350形6両が無償譲渡され、203系は2012年7月、キハ52形は2011年12月、キハ350形は2017年9月よりMetro South Commuter(MSC)での営業を開始した。→日本からの譲渡車両についてはこちらをご覧ください。かつては元JR東日本の12系客車も運行されていたが、2012年までに置き換えられた。現在、営業列車の過半数は203系が使用され、DMR1は事故や故障により、稼働可能編成は早くも3編成にまで減ってしまった(2018年1月現在)。
各車両の先頭車は終日女性専用車である(5両編成の場合は先頭寄り2両が女性専用車)。

2015年4月29日にレール盗難による脱線・横転事故が発生した影響により、同年5月5日〜7月22日に全面運休し、軌道のメンテナンスと沿線への監視カメラの設置が行われた。

関連ページ:「フィリピン国鉄(PNR)Tayuman基地」

(路線図:管理人制作)

マニラの下町を行く、Tutuban行きのMetro South Commuterの列車(203系第3編成)。2012年にデビューした元 JR東日本203系が現在は同線の最大勢力の車両となっている。

Blumentritt〜Tutubanにて
蒸気機関車顔負けの爆煙を上げてBlumentritt駅を発車する、Tutuban行きの列車(203系第6編成)。203系は2015年に紺色の全面塗装にオレンジ帯が入る新塗装に変更された。

Blumentritt〜Tutubanにて
2009年に導入されたDMR1。韓国の現代ROTEMで製造された、同線向けの新造気動車。軽量ステンレス車体の2扉車で、Mc-T-Mcの3両固定編成である。フィリピン国鉄向け新造車としては初のステンレス車・冷房付車両である。当初は2011年にさらに5編成が導入であったが計画変更により中止され、代わりに203系等のJR東日本からの譲渡車が導入された。
2010年〜2012年は同線の最大勢力であったが、登場からわずか3年で、20年以上先輩の203系に勢力を逆転された。2016年4月現在、踏切事故と故障により3編成が営業離脱中。
2015年に写真のような紺色の全面塗装にオレンジ帯が入った姿に変更された。

Tutuban〜Blumentrittにて
塗装変更直後(2016年1月)のDMR1。

Blumentritt〜Tutubanにて
旧塗装時代のDMR1。

Pasay Road〜EDSAにて
朝のBlumentritt駅に停車中のTutuban行きDMR1。
DMR1の車内の様子。天井や窓周りの造形が製造国である韓国の通勤型電車テイストである。座席はFRP製。ほぼ終日全線に亘って混雑しており、2扉車であることから各駅での乗降に時間がかかっている場合もある。
DMR1の車端部にある現代ROTEMの製造銘板(2009年製)。
2011年12月よりMetro South Commuterで営業を開始した、元JR東日本新津運輸区所属のキハ52形。3両編成で運行。あまりの混雑により車軸が損傷する事故が発生したため一時期運用を離脱していたが、2017年7月に運用復帰した。

Tutubanにて
元 関東鉄道のキハ350形。Bicol地方では一足先に2015年9月より運行していたが、一部車両転属・新塗装化の上で2017年9月よりMetro South Commuterでの営業運転を開始した。

FTIにて
Bicutan付近の線路市場の中を行くキハ350形。車両は1961年〜1965年製のベテラン勢であるが、斬新な塗装により若返ったように見える。

Sucat〜Bicutanにて
South Railの起点駅であるTutuban駅(旧称:Manila駅)。1892年11月24日に開業した。現在の駅舎は1994年に建てられたフィリピン国鉄の本社ビルで、1階を2007年6月に改装して駅舎としたものである。2007年6月までは500m程北側の、Tayuman基地(Tayuman Depot)敷地内に設けられたTayuman駅(仮駅)が暫定的な起点駅となっていた。
Tutuban駅舎内。明るくて清潔な空間。壁面には歴代の車両の写真も飾られている。
Tutuban駅に佇む203系4本。
Tutuban駅で並ぶ、203系第5編成・900型機関車・キハ52KIHA-O編成。
Tutuban駅に並ぶ203系第3編成・第2編成。
Tayuman基地より推進運転で入線してくる、Tutuban発Alabang行きの列車。
Tutuban駅の北側に隣接している、Tayuman基地。South Rail(Metro South Commuter)の全車両を管理している。

※職員立会いの下、許可を得て撮影
Tutuban〜Blumentritt間で離合する列車。30分間隔の運用の際は、ダイヤが乱れない限りこの区間で上下線の列車が離合する。
Alabang行きの列車。203系の先頭車(クハ)は全編成がAlabang側に連結されている。Tutuban寄りは中間車が先頭となる。

Tutuban〜Blumentrittにて
LRT1号線のBlumentritt駅(高架)と直角に交差する。高架をくぐり、Tutubanへと向かうDMR1。

Blumentritt〜Tutubanにて
LRT1号線のBlumentritt駅から見た、Alabang行きの900型機関車(GE製U14C)+203系第8編成。
900型機関車(GE製U14C)+203系第4編成(旧塗装時代)。

Tutuban〜Blumentrittにて
保守用列車も定期列車の合間に時折走行している。

Tutuban〜Blumentrittにて
夕暮れのBlumentritt駅に停車中の2500型機関車(GE製U10B)+203系第6編成。背後の高架駅はLRT1号線のBlumentritt駅。
電車が中間車を最後尾にして営業運転に就くことは日本ではあり得ないので、やや違和感がある。

Blumentrittにて
かつては沿線の線路の両脇に延々と続いていたスクオッター(不法居住者)のバラックも、2008年からのSouth Rail再整備によって軒並み取り壊された。現在、バラックは一部区間に残るのみである。

Santa Mesa〜Españaにて
Santa Mesa駅付近にて、LRT2号線と交差する。乗り換えは考慮されていないが、PNRのSanta Mesa駅とLRT2号線のPureza駅は道なりに600m程度の距離である。
Pandacan(Beata)駅に入線するTutuban行きのDMR1。
Paco駅に停車中の、Alabang行きの900型機関車(GE製U14C)+203系第6編成。背後に聳えるのはPaco駅の新駅舎となる予定だった建物で、工事途中で放置され無残な姿となっている。
沿線のスクオッター(不法居住者)を収容するために建設されたアパートをバックに走る203系。

Paco〜San Andresにて
スクオッター対策のアパートの脇を行くDMR1。

San Andres〜Pacoにて
EDSA駅に入線する900型機関車+203系第1編成。背後の高架は、フィリピン初の高架都市高速道路であるMetro Manila Skyway。
EDSA駅付近ではMRT3号線の高架と交差する。PNRのEDSA駅とMRT3号線のMagallanes駅との距離は約300m。
Metro Manila Skywayのジャンクションや一般道の高架が複雑に入り組む中に位置するNichols駅。ニノイ・アキノ国際空港第3ターミナルの最寄り駅で、空港ターミナルから約2.5kmの位置にある。
Bicutan駅付近を走行する、Tutuban行きの列車。列車は30分〜1時間間隔でしか走らず、列車が走っていない時には一般人が軌道上に勝手にトロッコを走らせて営業運転を行っている姿をよく見かける。
Bicutan駅に到着した203系第8編成。大半の駅のホームは3両編成分程度しかなく、5両編成の列車ではホームからはみ出して停車する(駅到着時にはホームがない部分に停車中の車両を含め、すべてのドアが開く)。
Sucat〜Alabang間は単線となっている。旧Alabang駅を通過するDMR1。
旧Alabang駅の様子。Alabang駅新駅(現Alabang駅)の150m程北側にある。Metro South Commuterの全列車が通過。長距離列車が運行されていた時は、こちらのホームに発着していた。
緑のトンネルを抜けて、Alabang駅新駅に入線するDMR1。
ショッピングセンターの「Metropolis Starmall Alabang」前に設けられたAlabang駅新駅。Metro South Commuterの列車は、すべてこちらの新駅に発着する。写真は機回し線増設前の様子。
203系運行開始に伴い、機回し線が整備された後のAlabang駅新駅。機回し線整備前は、203系での運行列車は1つ手前のSucat駅で折り返していた。
Alabang駅新駅に停車中の203系第4編成。
機回し中の機関車。
Alabang駅を発車する、折り返しTutuban行きの列車。機関車が緑のトンネルの向こうで見えないため、まるで203系が自走しているかのよう。
Alabang駅端からLegazpi側を見る。Alabang以北と以南では線路の整備レベルが大きく異なる。
遮断機が閉まって列車が近づいてきても横断を止めない歩行者たち。警笛を吹鳴し続けながら通過する上下線の列車。Metro South Commuterでは、元JR東日本203系が主力車両として活躍している。

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Paco駅を発車し、大通りの駅前踏切を通過するAlabang行きの列車。車内は終日、上下線ともに混雑している。203系の窓には、JR東日本時代のドア広告がそのまま存置されている車両もある。

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夕方ラッシュ時間帯に撮影。到着した列車から多くの客がホームに溢れ出る。客車は元の4両編成から5両編成に増強されたが、それでも本数が少ない(30分間隔、日中は1時間間隔)。発車する列車の前の客が直前横断している。丁度踏切を日本の中古トラックが差し掛かり、「ピロピロピロン 左へ曲がります、ご注意ください」の音声が流れ、日本出身の車両同士によるシンフォニーが繰り広げられた。

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黒煙を上げて疾走する900型ディーゼル機関車(GE製U14C)+203系5両編成。踏切は手動で、列車の警笛の音を聞いて踏切警手が警報音を鳴らし、遮断機を下ろしている。

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Tutubanへ向かう203系。車両の塗装は2015年に変更され、紺色に全面塗装された(ドア部分のみ無塗装、但し帯は追加)。先頭車の前面の帯が剥がれかけ、JR東日本常磐緩行線時代のエメラルドグリーンの塗装が見え隠れしている。

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夕暮れのマニラを、警笛を豪快に鳴らし前照灯をパッシングさせながら突っ切るMetro South Commuterの上下線の列車。踏切の動作開始・終了は踏切監視員による目視。

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沿線のSquatter(不法居住者)排除のために建設された公営アパートをバックに、エンジン音高らかに通過するMetro South Commuterの列車。

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常磐緩行線・千代田線時代と変わらず、大勢の乗客を乗せてマニラを行く元 JR東日本203系。最後尾の先頭車には車内電源用の発電機が搭載されている。複線軌道は自然の力で緑化している。

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朝日を浴びて走行する、Tutuban発Alabang行きの列車。列車通過後の踏切はフィリピン名物のジプニーが行き交う。

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ブレーキホースを取り付け、職員の笛と共にいざ連結。連結後は反対方向に軽く引っ張り、連結試験も行っている。203系の連結器は、元12系・14系の廃車発生品の密着自動連結器と交換されており、連結器の両側には連結開放防止用兼異常時牽引用のチェーンが設置されている。

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電車と変わらぬ高性能な加減速性能を誇るDMR1が行く。1:10に聞こえるブレーキ緩解音は、正にVVVF制御の電車でよく聞ける音そのものだ。

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車体を上下に大きく揺らしてEDSA駅に到着する、Alabang行きの列車。すべての窓には投石除けの金網が設置されている。DMR1で運行される列車では最後尾に車掌が乗務している。

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2015年にステンレス車ながら全面塗装に変更されたDMR1。2017年11月現在、3編成が運行されている。

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小雨の中を行くAlabang行きのDMR1。警笛の鳴らし方が名鉄のようだ(長い警笛の後に短い警笛を連続2回)。

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投石対策で小窓のドアが特徴のDMR1。ドアが閉まると軽快に発車していった。

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旧Blumentritt駅跡地を通過し、隣接する現Blumentritt駅へと走り去るTutuban行きの列車。
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傘を差した乗客が溢れるBlumentritt駅のホームを離れ、LRT1号線の高架下踏切を通過するTutuban行きの列車。

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機回し線整備前のAlabang駅に到着するDMR1。ドア扱い時には尾灯が点滅する仕様となっているのがDMR1の大きな特徴。

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夕暮れのBicutan駅に入線するDMR1。韓国製の車両だが、警笛の音は日本の車両と似ている。2015年にステンレス車ながら全面塗装に変更された。
列車を待つ際、ホームに腰かけて待つ姿がフィリピン国鉄ではよく見られる。

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