台湾鐵路管理局EMU700型

EMU700型は台鐵捷運化による輸送量増加に対応するために導入された電車で、2007年から2008年にかけて合計160両(8連20本)が製造された。はじめの12両が日本車両製で、残りの148両が台湾車輛にて技術移転の上、製造された。電化区間の区間快車及び一部の区間車の運用に就いている。

車体はステンレス製で、日車式ブロック工法が採用された。前面は台鐵の通勤電車で初の非貫通型となり、従来車にはない大きな連結器カバーが特徴となっている。台鐵の通勤電車としては初の8両固定編成(従来車は4両編成)であるが、構造上はMc-T-T-Mの4両ユニットを背中合わせに連結したものとなっており(Mc-T-T-M+M-T-T-Mc)、これは台北捷運の鉄輪式車両と同じメカニズムとなっている。

車内は台北捷運の鉄輪式車両と同様の、ロングシートとクロスシートを組み合わせた「非」字型の配置となっている(従来車はオールロングシート)。ドア上には台鐵の通勤電車では初のLED式案内表示装置が設置されている。自動放送前の車内チャイムは当初、JR東日本の発車メロディー「See you again」(途中駅用)及び「JR-SH1」(終着駅用)が使用されていたが、現在はオリジナルのものに変更された。

VVVFインバーター装置はEMU600型・TEMU1000型と同様に東芝製のもの(IGBT素子)が採用されている。車両寸法は車両長20,300mm(先頭車20,741mm)、幅2,890mm。最高速度は110km/h。

屏東線の区間車運用に就くEMU700型。

にて
屏東線の区間快車運用に就くEMU700型。

〜屏東にて
先頭車先頭部側面。連結器カバーの出っ張りが目立つ。乗務員は客室から乗降する為、車体両側面に乗務員室扉は設けられていない。
台車はボルスタレス台車。
VVVFインバータ制御装置。IGBT素子で、装置は東芝製。
車体は日車式ブロック工法を採用。日本以外では同工法の初の採用例となった。側扉の上にはアーチを描いた雨どいが設置されている。車体の裾は絞られている。
側面にはLED式行先表示機が各車両片側2箇所ずつ設置され、列車番号・列車種別・路線名(省略される場合もあり)・行先(中国語・英語)を縦スクロールで順番に切替表示する。
4号車と5号車の連結面には尾灯が設置されている。8両固定編成であるが、構造的にはMc-T-T-Mの4両ユニットを線対称(背中合わせ)につなげているためである(そのため編成番号も前4両と後ろ4両では異なっている)。
EMU700型の車内の様子。台北捷運の鉄輪式車両と同様の、ロングシートとクロスシートを組み合わせた「非」字型の配置となっている。座席はモケット張り。車端部はロングシートとなっている。また、博愛座(優先席)は赤色のモケットとなっている。
ドア周りの様子。ステップは一段で、ドアの取っ手は上下2箇所に設置されている(他形式は1箇所)。座席の袖仕切りはFRP製の大型のもので、更にその上にはガラスの仕切りが設置されている。
ドア上には台鐵の通勤電車では初のLED式案内表示装置が設置されている。台北捷運・高雄捷運の列車のように、前の停車駅・次の停車駅・その次の停車駅が表示される。また、30分毎(毎時00分と30分)に現在時刻が表示される。
車掌操作用のドアボタンは、ドアの横に設置されている(従来の通勤電車はドアの上部に設置)。
各側窓にはフリーストップ式のロールカーテンが設置されている(従来の通勤電車はカーテン省略)。
乗務員室仕切り扉の窓は当初は普通のガラスであったが、後にすりガラス風のステッカーが全車両に追加で貼られ、前面展望は不可能になった。
日本車両の車内銘板。
台湾車輛の車内銘板。

EMU700型走行音(鳳山→高雄)IGBT-VVVF制御で、制御装置は東芝製。
Mc-T-T-M+M-T-T-Mc(4M4T)の8両固定編成。
扉開閉時は当初、音声による案内が鳴っていた(現在は省略)。
EMU700型走行音(九曲堂→後庄)
EMU700型 車内チャイム(途中駅用)オリジナルのチャイムを使用している。案内放送は、他形式の車両と同様に北京語、台湾語、客家語、英語の順に行われる。
EMU700型 車内チャイム(終着駅用)
EMU700型 車内チャイム(旧チャイム・途中駅用)JR東日本の発車メロディー「See you again」を車内チャイムとして使用していた。現在は廃止されている。
EMU700型 車内チャイム(旧チャイム・終着駅用)JR東日本の発車メロディー「JR-SH1」を車内チャイムとして使用していた。現在は廃止されている。
EMU700型走行動画(高雄にて)高雄駅を発車する、縦貫線の区間快車運用に就くEMU700型。

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